第1日 1月4日(土)
出発の朝は、たくさん保護者の皆様が新千歳空港までお見送りに来てくれました。新千歳空港では、新年のUターンラッシュの影響で、チェックイン・手荷物預けに長蛇の列ができており、定刻よりも30分遅れで羽田空港に向けて出発しました。しかし、羽田空港到着後は、日曜日ということもあって高速道路も空いており、予定より30分早く成田空港に到着できたため、国内線での遅れを取り戻すことができました。成田空港からは、約12時間のフライトの後に、ボストン・ローガン国際空港に到着しました。全員がスムーズに入国審査をクリアし、41人揃ってボストンの地を踏むことが出来ました。長旅の疲れもあまり見られず、体調不良者もおらず、全員元気です。
空港からは、男子は滞在先のユースホステルに、女子は各ホームステイ先に、送迎車で移動し、アメリカでの生活をスタートしました。ホストファミリー宅に到着後、添乗員の携帯に到着報告の連絡を入れることになっております。今年は全生徒が到着後すぐに連絡をしてきてくれました(過去4年間で初のことだそうです。)。男子はユースホステル到着後、スタッフの方から施設の説明を受けたのですが、ナチュラルスピードの英語の洗礼を受けて「???」というところはありましたが、ポイントは掴んで聞き取れているようでしたので、この研修中のリスニング力向上に期待したいところです。
明朝は、自主研修のため、地下鉄・バスを使って語学学校まで登校してくる予定です。全員が時間どおりに登校できることを祈るばかりです。
第2日 1月5日(日)
前日の天気予報では雨、朝の早い時間は予報通り雨が降っていましたが、明るくなるにつれて雨も上がり、青空が見えるようになってきました。
ボストン最初のプログラムは、生徒たちが一番楽しみにしているものの一つでもある自主研修です。まず、語学学校がある地下鉄ハーバードスクエア駅に9:30に集合し、語学学校への道順を下見してからスタートするという段取りになっていました。「ちょっと早いかなぁ」と思いながら、9時前に集合場所に到着すると、既に5~6名の女子の姿がありました。何人かはボストン発祥の「ダンキンドーナツ」で、店員さんお勧めの「ボストンクリームドーナッツ」を美味しそうに食べていました。もちろん、ホストファミリー宅でも朝食をしっかり食べてきたとのことで、到着翌日だということを感じさせないくらい元気充分です。女子は、ホームステイペアと一緒に、路線バスや地下鉄といった慣れない公共交通機関を使っての初登校となったため、残念ながら全員が時間通りに揃うことができませんでした。しかし、大きく遅れることなく、すべての班が自主研修をスタートさせることができました。
自主研修では、「ボストン茶会事件博物館」・「クインシーマーケット」・「ボストン美術館」・「ニューイングランド水族館」・「科学博物館」・「クインシーマーケット」・「フェンウェイ球場」など、それぞれの班のテーマに基づいて、作成した行程表に沿って、ボストンの街を散策しました。
16:00の再集合に向けて、15時半過ぎから続々とハーバードスクエア駅に戻ってきました。意外なことに買い物袋を持ってくる生徒がほとんどおりませんでした。お土産買いに気を取られることなく、各見学先で有意義な時間を過ごせたのではないかと思われました。冷たい風の吹く中、慣れない街を1日歩き回った疲れと時差も重なり、かなり疲れた表情の生徒もいました。しかし、最後まで緊張感を保ち、班のメンバーで協力して、集合時間の10分前には全ての班が帰着することができました。そして女子は、引き続き緊張の面持ちで、ホストファミリー宅へ帰っていきました。
写真は自主研修の風景です。各班で考えて面白い写真を撮ってきてもらいました。
第3日 1月6日(月)
今日から語学学校 Kaplan International (KI) での語学研修も始まり、本格的にアメリカ研修のプログラムが開始となります。
昨日に引き続き、今日も冷たい風の吹く中、生徒たちは公共交通機関を使ってKIまで通学してきます。昨日登校の練習をしたからか、全員が集合時間の10時までに集合することができました。
KIでのオリエンテーションでは、スタッフの歓迎の挨拶から始まり、ボストンに関するアクイズをチーム対抗戦でやりながら、英語のウォームアップを行いながら緊張をほぐしていきました。もちろん説明は全て英語でしたが、明るいノリと和やかな雰囲気で進められ、生徒たちはしっかりと声をだし、楽しそうにリアクションをしていました。最初は“No Japanese, Speak English!” と注意される人もいましたが、それからは、全員が英語を理解して英語を使いつつ参加しようとしていました。オリエンテーションの後は、語学学校周辺とハーバード大学の一部を、2つのグループに分かれて散策しました。周辺散策では、主にスタッフおすすめのランチスポットが紹介され、「ピザとパンケーキ、ハンバーガー、そしてお寿司」と、さっそく今週のランチ計画を相談する女子の声が聞こえてきました。
午後は、アメリカ建国の史跡を巡る「フリーダムトレイル」ツアーを、英語クラスの先生の案内で行いました。KIからは3名の先生に来ていただき、10~15名程度の小グループに分かれて解説を聞きながら散策します。パークストリート駅まで地下鉄で移動した後、アメリカ最古の公園、ボストンコモンからスタートし、州議事堂や、独立史上の英雄の眠るグラナリー墓地、旧議事堂や教会などを、歴史的背景や登場人物の紹介を聞きながら巡っていきます。昨日よりも風が弱く、体感温度も高かったことから、生徒たちは説明に集中することができ、例年よりも多く質問の手が上がっていました。ツアーの最後は、クインシーマーケットで3つのグループが合流して終了となりました。
今日のプログラムはここで解散となり、公共交通機関を使ってホストファミリー宅およびユースホステルに戻っていきました。特に不安な様子を見せず、また、帰り道に関してもきちんと下調べをしてきているからか、わからなくて困っているような声はありませんでした。
第4日 1月7日(火)
本日から語学学校での授業が開始となりました。日本で受けたクラス分けテストの結果、上級(Advanced)10名、中級の上(Higher Intermediate)17名、中級(Intermediate) 14名となり、全員、留学生がいるインターナショナルクラスに入っております。Advancedの中でも、一番英語力が高いCEFR C1のレベルに該当するクラスには2名が入っています。初日のクラスの感想は、意外にも「楽しかった!」という生徒が多く、授業終了後は笑顔で教室を出てくる生徒が多かったです。ただ、「他国生に自分から話しかけられた人?」と聞いてみると、手が挙がったのは半分程度でした。しおりに書かれた日記でも、「〜できた」という表現に変わりつつある生徒が増えている一方で、少しずつ差が出てきているようにも感じます。昼休みに、11月に記入した「事前研修ワークシート」を配布し、渡航前に設定していた目標や帰国後の自分像をこの段階で確認してもらいました。今日までの4日間の動きを振り返り、後半に向けて軌道修正をすることで、目標達成に近づいてほしいと願うばかりです。
午後はマサチューセッツ工科大学(通称MIT)を訪問しました。キャンパスツアーと座談会を行っていただいたのは、大学院修士課程在籍で、メディアラボで研究を行っている吉田さんです。キャンパスツアーでは、吉田さんの「好きポイント」を巡りながら、MITのポリシーや学校としての魅力を語っていただきました。キャンパス内のいたるところに展示されている彫刻や芸術作品から、技術だけでなく「アート」にも重きを置いている学校であることを力説されていました。一方、「冬の時期は勉強や研究が大変で、新入生の50%はうつに近い状態になる」と、笑いながら話をしてくれました。しかし、それだけの苦労を3年間続けてきた人の言葉の重みは充分に感じられたのではないかと思います。後半の座談会では、10人弱の生徒が質問をしていました。「高校時代にやっておいたほうが良いことは?」・「MITに来て思う、日本に居たら出来ないことは?」・「MITを選んだ理由は?」・「今後の夢や目標は?」といった、吉田さんの考えを引き出し、そして生徒たち自身の将来や進路選択につながるような良い質問が多くでました。一方、周りの目を気にして遠慮をしているからか、挙手の勢いが弱く、ガンガン質問攻めにして多くを学び取ろうという勢いは感じられませんでした。ここまでは、事前研修から発言していた生徒が多かったように思えました。そんな中で、質問の最後に、感想とお礼を言う生徒を募ったところ、一人の生徒が挙手をし、質問の内容を踏まえた感謝の言葉をしっかり伝え、座談会を締めることができました。
アメリカ研修も折り返し地点に近づき、ボストンでの生活に慣れてきている反面、疲れや中だるみの出やすい時期でもあります。今朝も8時20分頃、完全に寝坊してしまった女子生徒から「いま起きました!」という電話がかかってきて、2名が授業を1時間遅刻してしまいました。後半、気を引き締めて研修に取り組むことを期待します。
第5日 1月8日(水)
研修5日目、あっという間にプログラムも折り返し点を過ぎ、後半に突入しました。
公共交通機関を使っての通学にも慣れたようで、今日は遅刻なく全員が8:30の授業開始までに指定された教室に入ることができました。今年度、この語学学校には北高生以外に200名程度の生徒が在籍しており、中国・韓国・ブラジル・ペルー・UAEなど、国籍の多様性にも富んでいることから、異文化交流の場としては非常に良い環境が整っています。初日から既にInstagramのアカウントを交換できた生徒や、一緒に写真を撮ることができたといった嬉しい報告も、しおりの中にはありました。
午後は、ハーバード大学の大学院にて化学を専攻されている古賀さんによるキャンパス見学と質疑応答会を行いました。キャンパス見学は、ハーバードヤードにある、Jハーバード像の前からスタートし、ワイドナー記念図書館・メモリアルチャーチ・サイエンスセンター等の見どころと、古賀さんが普段研究をしている、生物・化学の教室棟の外観を見学して廻りました。ハーバードでも行われている Liberal Arts 教育や、専門大学院制度など、アメリカの大学独特の教育システムに関してもお話しいただき、理解を深めることができました。41人でキャンパスを歩くと、どうしても前後に長くなり、後ろの方になると歩きながらの解説が聞きにくいという問題点があります。昨日のMITにおけるキャンパスツアーの反省を活かし、とにかく古賀さんの近くをキープしようとがんばり、時には猛ダッシュで前に出る姿も見られ、古賀さんからより多くを学ぼうとする生徒たちの必死さが感じられました。
質疑応答では、昨日よりも挙手の勢いがあり、また質問をする生徒の数も多かったです。古賀さんが日本の高校から直接海外の大学(イェール大学)にされていることから、「なぜ海外の大学に直接進学したのか?」といった質問から、海外大学の入試制度や試験科目、英語の試験の取り組み方など、海外留学を考えている生徒にとって、良いアドバイスを頂くことができました。また、「高校時代の勉強では、予習と復習のどちらが大事か?」とか、「高校時代の海外活動と受験勉強の両立方法は?」といった、生徒たちが日本の高校生活で直面している課題に関する質問もありました。古賀さんは、「できることは全部やる」「苦手なことから手を付ける」「高校の成績は良いに越したことは無い」「課外活動やボランティアもしっかりやる」といった、帰国後すぐに役立つアドバイスもたくさんくださいました。
最後は、昨日とは違う生徒が感想とお礼の言葉を述べました。彼女は、今日は自分が必ず感謝の言葉を伝えたいと決めていたとのことで、即時に手を挙げて謝辞を述べました。古賀さんの話の内容を踏まえた素晴しいものでした。
終了後、語学学校の教室に一旦戻り、前半の振り返りと後半に向けてのミーティングを行いました。前半4日間を過ごしてみて、うまくいったことや成功体験、改善したいことや課題を小グループでシェアし、後半をより充実させ実り多い研修にするためにはどうしたらよいかを考える機会としました。「自分から」話しかけに行く「勇気」と「積極性」、頭では充分にわかっていることが、残りの日々行動に移し実践できることを期待したいです。
第6日 1月9日(木)
アメリカ研修も後半に入り、語学学校Kaplanでの授業も残すところあと2回になりました。
強い寒気と北風の影響で、体感温度はマイナス15度と、今回の研修で一番寒さが厳しい朝となりました。この天候が影響したからか、ほとんどの生徒が通学に使う地下鉄Red Lineが遅れており、通学途中に「遅刻をしてしまうかも…」という連絡が3家庭の女子生徒からありました。しかし、授業開始5分後の8:30には全生徒が集合することができました。授業時間を1分たりとも無駄にするまいと、息を弾ませ、駅から一生懸命に急いで登校してきたようです。
英語の授業は、ディスカッションやペアワーク等、英語を使うことを重点に進められています。昨日の授業の宿題で、「あなたにとって成功とは何か?」・「世界で成功した人はだれか?」・「愛とお金、どっちが大切か?」といった、大人が日本語で考えても難しい問題を、インタビューして英語で考えをまとめてくるというものがありました。ある生徒は引率者3人にインタビューをしに来たのですが、果たしてうまく宿題を仕上げ、発表することができたのでしょうか?
休み時間に談笑する姿、他国からの留学生とランチを摂りに出かける生徒、昼休みはラウンジでご飯を食べながらおしゃべりする生徒…など、何か月も前からこの語学学校に来ているのではと思うほど馴染んで、自然な姿で楽しそうにコミュニケーションをとっている姿が見えました。昨日のミーティングで出てきた言葉、「自分から勇気をもって積極的に行動する」を、行動に移すことができている生徒が、今日は特に多いように思われました。
午後は、ダナ・ファーバー癌研究所(Dana Farber Cancer Institute)を訪問し、日本人研究員の北嶋俊輔先生に講演をしていただきました。地下鉄グリーンラインのLongwood Medical Area駅を降りた後、ハーバード大学医学大学院やその附属病院といった、世界最高レベルの医療機関の集まる道を歩き、ダナ・ファーバー癌研究所に到着しました。
北嶋先生は、名古屋大学、京都大学大学院、金沢大学を経て、6年間ダナ・ファーバーで研究留学をされています。北高のボストン研修では、第2回目から講演をしていただいていましたが、この度、有明の癌センターで研究をすることとなり、来週水曜日に帰国されます。よって今回が日本人の高校生に向けた、アメリカでの最後の講演会となりました。
先生の講演は大きく2つに分かれており、前半は、これから進路を決める高校生に向けて参考になるよう、先生の今までのキャリアを振り返りながら、高校生に伝えたいメッセージを頂き、後半では、がんの仕組みと最新の治療方法に関して、非常に分かりやすくお話しいただきました。
・世界最高レベルの、ハーバード・メディカル・スクールで研究をすることは、特別な一握りのエリートの特権ではなく、研究者として仕事をする全ての人に起こりうる選択肢、決して他人ごとではない。
・医学の研究をするのは、医師でなくてもできる。
・高いレベルの環境に身を置き慣れること。選択に迷ったら、自分の適応力を信じてレベルの高いところを選択すること。
・若いころから英語に様々な状況で接してほしい。
・研究者として働くためには、「博士号と専門知識」「国語力と英語力」「PCと統計学」「コミュニケーション力」を早い段階から身に着けるべき。
といったアドバイスを頂きました。
また、大学時代の自転車での日本周遊経験にも触れられました。勉強以外でも一生懸命取り組むことの必要性、「計画性・継続力・達成感・精神力」が養われ、それが現在の研究活動に思わぬ形で役立っていることから、将来何が役に立つのかわからない、といった明日からの高校生活でも役立てられるようなアドバイスもありました。生徒たちは真剣にメモを取りながら、食い入るようにして傾聴していました。
後半の癌に関する話では、日本人の1/2が発症し、1/3が死亡するといった癌の身近さ、自分や自分の家族にいつ降りかかってくるか解らない、といったことを前提に、現在の研究でわかっている癌発生のメカニズムや先生の研究に関わる治療法などに関してお話しいただきました。途中、生徒たちへのディスカッションテーマとして、「なぜ人は癌になるのか?」・「癌の原因はいつごろわかったのか?」の2つをテーマに、6つのグループに分かれてディスカッションを行い、考えを発表していきました。先生曰く、「全く不正解のグループはない」ということで、高校生としては、生物・癌の基本的な正しい知識を持っているようでした。先生は、生徒たちの考えを聞き、生物が高校の授業でも触れるDNAや遺伝子変異の基本的な知識も入れながら、先生の研究を生徒たちのレベルに合わせて非常に分かりやすく解説をしてくださいました。また、薬で100%治すことができる癌は1個しかない。それ以外は完全に治すことができなく、このような薬はまだ開発できていない。例えば抗癌剤Iressaは上手く効けば、3~5年は抑えられるが、その後は進化のメカニズムと同様に体内で耐性ができてしまって再発してしまうという治りにくい病気でもあることも、研究の中身をかみ砕きながら解説してくださいました。その上で、社会制度や教育の充実によって、検診による早期発見で癌に対処することが大切だと力説されており、癌の研究者として、癌による死者を減らしたいという、北嶋先生の強い使命感が伝わってきました。
第7日 1月10日(金)
研修7日目、早いものでボストンでのプログラム、語学研修はあっという間に最終日となりました。
語学学校での授業は1週間単位で進むため、金曜日はこの週で卒業し帰国する学生たちの修了式が行われ、修了証書が授与されます。前半の授業が終了した休憩時間に、今週この語学学校に在籍しているほぼすべての生徒(約100名)と、センターディレクター、授業を担当する先生方が一堂に会し、セレモニーが行われました。今週末に終了する学生は5名程度で、この学生たちが証書をもらいスピーチをした後に、北高生がクラス担当の先生から修了証書をもらいました。その後、北高生2名がスピーチを行いました。本来は、早めにスピーチをやりたい人を募るべきだったのですが、今朝8時過ぎに、生徒のグループラインで希望者を募ったところ、この2名が是非やりたい、とすぐに名乗りを上げてくれました。準備時間は正味2時間程度で、どんなスピーチができるのか、今回は原稿添削もできず、ぶっつけ本番だったこともあって心配でしたが、彼らはメモを見ることもなく、ただ暗記したことを声にするだけでもなく、堂々とした表情で、ジェスチャーも交えて、先生方やクラスメートに対して感謝の言葉を述べていました。最後は、世界中の人達が知っている「サッポロビール」を挙げ、是非札幌に来てサッポロビールを一緒に飲みましょう! と、会場に笑いを起こしてスピーチを締めくくりました。修了式後の休み時間、一緒に写真を撮ったり、スマホを取り出してアカウント交換をしたりしている姿が各所で見られました。
午後は、ボストンでマーケティング関係の会社を起業して経営されている、松川原康氏から、「AI時代をどう生きるか」をテーマに講演をしていただきました。新潟県出身で慶応義塾大学へ進み、日米両方の一般企業で勤務をした後に渡米し、以後25年以上にわたりボストンで活躍されています。前半部分は、AI技術が発達し、ネット社会が今後ますます進む中で、これから社会に出る高校生が、どのような考え方をもって生きていくべきか。特に、AIでは対応できない能力を伸ばすためには、日々の生活の中でどのような点に気を付けると良いかなどについてアドバイスを頂きました。
「主観が武器になる時代だからこそ、好き嫌いをはっきりさせ、主観を大切にする」
「自分の評価基準をつくる。そのために考える力を身に着ける」
⇒なぜ、そもそも、もし…だったら、といった仮説を考える
後半部分では、「キャリアを考える」というテーマで
「自分の得意を優先し強化する。一方で、弱みを消さず大事にして個性として生かしていく」
「ないものねだりをしない、今あるものをどう生かすかを考える。持っているカードで勝負する」
「思い」を大切にする、まず思い。出来ないこと、能力のないものは思わない。あとは時間。
「自分にとっての価値は何か…目的・夢より、〈自分はどう生きたいか?〉」
⇒どこに価値を置いて生きていきたいか、これを真剣に考えて欲しい。
「自分をねぎらって欲しい、自分を大好きになってほしい。」
また、IDアメリカ社のハムザ氏が後半加わりました。ハムザ氏は、母が日本人・父親がエジプト人で、アメリカ生まれアメリカ育ち、学校教育は大学まですべてアメリカで受けて、IT系の企業で仕事をされています。
ハムザさんを入れたセッションの中で、「大学生が将来について最も不安だと思うもの」の統計データ
お金 27.4% / 結婚 16.8% / 就職活動 15.2%
をもとに、なぜこのような数値になるのか、この数値に対してどう思うか生徒たちが意見を出していきました。
生徒たちのキャリア観や結婚観、子育て・メディア・情報・お金に対する価値観などを垣間見ることができました。またハムザさんの発言や視点から、改めてアメリカとは異なる日本の良さに気が付くところもあったのではないかと思います。
この研修中、MITの吉田さん、ハーバード大学の古賀さん、ダナ・ファーバーの北嶋先生、そして本日の松川原さん・ハムザさんと、様々なタイプの方々の講演からインスパイアを受けたことを、帰国後忘れずに行動に移し、進路選択の糧にしてくれるとうれしいです。本日は、これまで以上に多くの質問が投げかけられ、終了後も松川原氏を囲んで個別に質問する姿も見られました。
第8日目 1月11日(土)
今朝、男子はホステルから、女子はホストファミリーから送迎車にてボストン・ローガン国際空港に集合しました。研修期間中は、傘を差すような雨や吹雪になることは無く、現地出発日の今朝も相変わらず良いお天気です。また、天気と同様に、体調を崩した生徒も一人もおらず、多少の時差ボケはあったかもしれませんが、良い状態で研修を継続できたのではないかと思っております。
現在、チェックイン・出国手続きはすべて完了し、搭乗口付近で解散してボストンでの最後の時間を楽しんでいます。成田空港への飛行機は、定刻の12:20に出発し、到着も現在のところ予定通りとなっております。